膜構造の建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する
安全上必要な技術的基準を定める件
平成14 年 国土交通省告示 第666 号
改正 平成19 年 国土交通省告示 第612 号
改正 平成23 年 国土交通省告示 第430 号
建築基準法施行令(昭和25 年政令第338 号)第八十条の二第二号の規定に基づき、膜構造の建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を第一から第三までに定め、
同令第三十六条第一項の規定に基づき、膜構造の建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術基準のうち耐久性等関係規定を第四に指定し、
同令第八十一条第二項第一号イの規定に基づき、膜構造の建築物又は膜構造とその他の構造とを併用する建築物の構造計算が第五第一項各号及び第二項から第五項まで(第四項第二号を除く。)に適合する場合においては、当該構造計算は、同条第二項第一号イに規定する保有水平耐力計算と同等以上に安全性を確かめることができるものと認め、
同令第八十一条第二項第二号イの規定に基づき、膜構造の建築物又は膜構造とその他の構造とを併用する建築物の構造計算が、第五第一項各号及び第二項から第五項まで(第四項第三号を除く。)に適合する場合においては、当該構造計算は、同条第二項第二号イに規定する許容応力度等計算と同等以上に安全性を確かめることができるものと認め、同令第八十一条第三項の規定に基づき、膜構造の構造計算が、第五第一項各号及び第二項から第六項まで(第四項を除く。)に適合する場合においては、当該構造計算は、同令第八十二条各号及び同令第八十二条の四に定めるところによる構造計算と同等以上に安全性を確かめることができると認める。
第一 適用の範囲等
この告示において次の各号に揚げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 骨組膜構造
鉄骨造その他の構造の骨組みに膜材料を張り、当該骨組及び当該膜材料を一体とし、膜材料に張力を導入して荷重及び外力を常時負担することのできる平面又は曲面とすることにより、構造耐力上主要な部分である屋根版又は壁を設ける構造をいう。
二 サスペンション膜構造
構造用ケーブルに膜材料を張り、膜材料に張力を導入して荷重及び外力を常時負担することのできる平面又は曲面とすることにより、構造耐力上主要な部分である屋根版又は壁を設ける構造をいう。
2 膜構造の建築物又は建築物の構造部分の構造方法は、次に揚げる膜構造の種類に応じてそれぞれ当該各号に定めるところによる。
一 骨組膜構造 次のイからホまでに定めるところによること。
イ、建築物の高さは、13m以下とすること。ただし、第五に定める構造計算によって構造耐力上安全であることが確かめられた場合にあっては、この限りでない。
ロ、構造耐力上主要な部分に用いる膜面(張力を導入した膜材料及び当該膜材料と一体となる骨組又は構造用ケーブルにより荷重及び外力を負担するものをいう。以下同じ。)の水平投影面積又は鉛直投影面積にうち最も大きい面積(以下「膜面の投影面積」という。)の建築物全体における合計は、
1000 ㎡以下とすること。ただし、第五に定める構造計算によって構造耐力上安全であることが確かめられた建築基準法(昭和25 年法律第201 号)第八十五条第二項若しくは第五項に規定する仮設建築物(以下単に「仮設建築物」という。)であって強風時において当該仮設建築物を撤去することを条件として特定行政庁の許可を受けた場合又は次に定める構造方法とした場合にあっては、この限りでない。
(1) 膜構造のうち骨組を構成する部材その他の剛性を有する部材(以下「骨組等」という。)で囲まれる膜面の部分の水平投影面積又は鉛直投影面積のうち最も大きい面積を、300 ㎡以下とすること。この場合において、周囲の骨組等が膜材料に生ずる力を直接負担する構造とすること。
(2) 膜面における支点間距離(骨組等又は構造用ケーブルと膜材料との定着部分又は接触部(荷重及び外力に応じて膜材料を支持するものに限る。)の相互間の距離をいう。以下同じ。)は、4m以下とすること。
(3) 膜面を用いた屋根の形式は、切妻屋根面、片流れ屋根面又は円弧屋根面とすること。
ハ、構造耐力上主要な部分に用いる膜面に使用する膜材料は、鉄骨造その他の構造の骨組に2m(建築基準法施行令(以下「令」という。)第八十六条第二項ただし書の規定により特定行政庁が指定する多雪区域にあっては、1m)以下の間隔で定着させること。ただし、第五に定める構造計算によって構造耐力上安全であることが確かめられた場合にあっては、この限りでない。
二、構造耐力上主要な部分に用いる膜面に使用する鉄骨造その他の構造の骨組は、令第三章第三節から第七節の二までの規定に適合すること。
ホ、膜面に使用する骨組を構成する鉛直部材の脚部をけた行方向のみに移動する滑節構造とし、屋根版及び壁に用いる膜面を折りたたむことにより伸縮する構造とする当該屋根版及び壁の部分にあっては、次に定めるところによること。
(1) 可動式膜面の部分の直下にある土台に用いる鋼材は、日本工業規格(以下「JIS」という。)E 1101(普通レール及び分岐器類用特殊レール)-2001 若しくはJIS E 1103(軽レール)-1993 又はこれらと同等以上の品質を有するものとすること。
(2) 可動式膜面の部分の骨組を構成する鉛直部材の脚部の可動部分(当該鉛直部材の脚部をけた行方向に移動させるための車輪及びこれを支持する部分をいう。)は荷重及び外力によって生ずる力を構造耐力上有効に当該鉛直部材の脚部の直下にある土台に伝えることができる剛性及び耐力を有する構造とすること。
(3) 可動式膜面の部分の骨組を構成する鉛直部材の浮上り及び当該鉛直部材の脚部の可動部分の脱輪を防止するために必要な措置を講じ、かつ、端部における鉛直部材の脚部の可動部分を固定するための装置を設けること。
二 サスペンション膜構造 次のイ及びロに定めるところによること。
イ、構造耐力上主要な部分に用いる膜面の投影面積の建築物全体における合計は、1000 ㎡以下とすること。ただし、仮設建築物であって強風時において当該仮設建築物を撤去することを条件として特定行政庁の許可を受けた場合にあっては、この限りでない。
ロ、第五に定める構造計算によって構造耐力上安全であることが確かめられた構造方法とすること。
第二 膜面の構造
構造耐力上主要な部分に用いる膜面は、当該膜面に使用する膜材料に張力を導入して平面又は曲面の形状を保持することができるものとし、当該膜面に変形が生じた場合であっても、当該膜面を定着させる部分以外の部分と接触させてはならない。ただし、接触に対して有効な膜面の摩損防止のための措置を施した場合にあっては、当該膜面を定着させる部分以外の部分を膜面に接触させることができる。
2 構造耐力上主要な部分に用いる膜面に使用する膜材料は、次の各号に掲げる基準に適合しなければならない。
一 きず、はがれ、摩損その他の耐力上の欠点のないものとすること。
二 膜材料は次の表の基布(繊維糸を使用した織布又は網目状織物をいう。以下同じ。)に使用する繊維糸の種類に応じて、コーティング材(基布の摩損防止のために基布に塗布し又は張り合わせた樹脂又はゴムをいう。以下同じ。)を塗布し又は張り合わせたものとすること。ただし、仮設建築物にあっては、この限りでない。
基布に使用する繊維糸 | コーティング材 | |
(一) | JIS R 3413(ガラス糸)-1999 に適合する短繊維(繊維径3.30μmから4.05μmまでの 三(B)に限る。)を使用したガラス繊維系 | 四ふっ化エチレン樹脂、四ふっ化エチレンパーフルオロアキルビニルエーテル共重合樹脂又は四ふっ化エチレン-六ふっ化プロピレン共重合樹脂 |
(二) | JIS R 3413(ガラス糸)-1999 に適合する短繊維を使用したガラス繊維 | 塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ふっ素系樹脂(四ふっ化エチレン樹脂、四ふっ化エチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂及び四ふっ化エチレン-六ふっ化プロピレン共重合樹脂を除く。)、クロロプレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム又はオレフィン系樹脂 |
(三) | ポリアミド系、ポリアラミド系、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系又はオレフィン系樹脂の合成繊維系(ケナフ植物繊維と混織されるものを含む。) |
三 厚さは、0.5 ㎜以上とすること。
四 質量は、1 ㎡につき550g(合成繊維糸による基布とした膜材料にあっては、500g)以上であること。
五 織糸密度は一様であること。
六 布目曲がり(膜材料のたて糸と平行な端部に直交する二直線によって膜材料のよこ糸を挟みこんだときの当該二直線距離を膜材料の幅で除した数値をいう。)は、10%以内であること。
七 コーティング材の密着強さは、膜材料の引張強さの1%以上、かつ、幅1cm につき10 ニュートン以上であること。
八 引張強さは、幅1cm につき200 ニュートン以上であること。
九 破断伸び率は、35%以下であること。
十 引裂強さは、100 ニュートン以上、かつ、引張強さに1cm を乗じて得た数値の15%以上であること。
十一 引張クリープによる伸び率は、15%(合成繊維糸による基布とした膜材料にあっては、25%)以下であること。
十二 構造耐力上主要な部分で屋外に面するものについては、紫外線又は降雨等による変質若しくは繰り返し荷重等による摩損を生じにくい膜材料とすること。
3 構造耐力上主要な部分に用いる膜面に使用する構造用ケーブルは、次に掲げる基準に適合しなければならない。
一 ねじれ、折れ曲がりその他の耐力上の欠点のないものとすること。
二 構造用ケーブルの端部の定着部は、次のいずれかの構造方法とし、存在応力の伝達に支障のないものとすること。ただし、仮設建築物にあっては、構造用ケーブルの端部の定着部が存在応力の伝達に支障のないイ、ロ及びハ以外の構造方法とすることができる。
イ、ソケット止め(茶せん状にばらした構造用ケーブルの端部に亜鉛-銅合金等を鋳込んだ金具を用い、ケーブル張力を円滑かつ確実に支持構造へ伝達するための構造方法をいう。)
ロ、圧縮止め(構造用ケーブルの端部に圧着した金具を用い、ケーブル張力を円滑かつ確実に支持構造へ伝達するための構造方法をいう。)
ハ、アイ圧縮止め(構造用ケーブルの端部を折り返して当該端部と重なる構造用ケーブルの部分とを筒状の金具により圧着して形成したループを用い、ケーブル張力を円滑かつ確実に支持構造へ伝達するための構造方法をいう。)
三 構造用ケーブルの交差部は、交点金具による緊結、被覆ケーブルの使用その他の構造用ケーブルの摩擦による損傷が生じないための措置を講ずること。
四 構造用ケーブルの端部以外の部分を他の構造用ケーブル又は柱その他の周囲の構造耐力上主要な部分で支える場合にあっては、当該部分に当該構造用ケーブルの直径の8倍(当該構造用ケーブルの応力状態の実況に応じて第五に規定する構造計算によって構造耐力上安全であることが、確かめられた場合は、4倍)以上の曲率半径を有する支持金具を設けること。ただし、仮設建築物にあっては、この限りでない。
4 構造耐力上主要な部分に用いる膜面に使用する膜材料相互の接合は、膜材料が相互に存在応力を伝えることができるものとして、次の各号のいずれかに定める接合方法としなければならない。ただし、次の各号に掲げる接合方法と同等以上に膜材料が相互に存在応力を伝えることができるものとする場合においては、この限りでない。
一 次の表に定める膜材料の種類に応じた次に定める接合方法
イ、縫製接合(接合する膜材料の重ね合わせた部分を端部と平行に縫製する接合方法をいう。以下同じ。) 次に定めるところによること。
(1) 縫製部は、縫い糸切れ、目飛び、ずれその他の耐力上の欠点がないものとすること。
(2) 実況に応じた暴露試験その他の耐候性に関する試験によって耐久性上支障のないことが確認されたものとすること。
(3) 接合する膜材料を重ね合わせた部分を端部と平行に四列以上縫製し、かつ、膜材料相互の重ね幅を40㎜以上とすること。ただし、膜面における支点間距離を3m以下、膜面の投影面積を200㎡以下とし、かつ、第五に定める構造計算によって構造耐力上安全であると確かめられた場合は、膜材料の端部と平行に二列以上縫製し、かつ、重ね幅を20㎜以上とすることがで
きる。
(4) 接合部の引張強さは、使用する膜材料の引張強さに0.7を乗じて得た数値以上とすること。ただし、第五に定める構造計算によって構造耐力上安全であることが確かめられた場合は、使用する膜材料の引張強さに0.6を乗じて得た数値以上とすることができる。
(5) 縫製部には、有効な縫い糸の劣化防止及び防水のための措置を施すこと。ただし、仮設建築物にあっては、この限りでない。
ロ、熱風接合(熱風により、接合する膜材料の重ね合わせた部分のコーティング材を溶融し、当該接合する膜材料を圧着する接合方法をいう。以下同じ。)次に定めるところによること。
(1) 溶着部は、はがれ、ずれ、ひび割れ、破れ、しわその他の耐力上の欠点がないものとすること。
(2) 実況に応じた暴露試験その他の耐候性に関する試験によって耐久性上支障のないことが確認されたものとすること。
(3) 溶接幅を40㎜以上とすること。ただし、膜面における支点距離を3m以下、膜面の投影面積を200㎡以下とし、かつ、第五に定める構造計算によって構造耐力上安全であることが確かめられた場合は、溶着幅を20㎜以上とすることができる。
(4) 接合部の引張強さは、使用する膜材料の引張強さに0.8を乗じて得た数値以上とすること。ただし、第五に定める構造計算によって構造耐力上安全であることが確かめられた場合は、使用する膜材料の引張強さに0.7を乗じて得た数値以上とすることができる。
ハ、高周波溶着接合(高周波電界を与えることにより、接合する膜材料の重ね合わせた部分のコーティング材を溶融し、当該接合する膜材料を圧着する接合方法をいう。以下同じ。)次に定めるところによること。
(1) 溶着部は、ロ(1)及び(2)に定めるところによること。
(2) 溶着幅及び接合部の引張強さは、ロ(3)及び(4)に定めるところによること。
二、熱板溶着接合(熱板を押し当てることにより、接合する膜材料の重ね合わせた部分のコーティング材又は当該部分に挿入した溶着フィルムを溶融し、当該接合する膜材料を圧着する接合方法をいう。以下同じ。)次に定めるところによること。
(1) 溶着部は、ロ(1)及び(2)に定めるところによること。
(2) 膜材料の種類に応じて次に定めるところによること。
(ⅰ) 第二項第一号の表の(一)に掲げる膜材料
厚さ0.12㎜以上の溶着フィルムを使用し、溶着幅を75㎜(膜面における支点距離を3m以下、膜面の投影面積を200㎡以下とし、かつ、第五に定める構造計算によって、構造耐力上安全であることが確かめられた場合は、37.5㎜)以上とすること。
(ⅱ) 第二項第一号の表の(二)又は(三)に掲げる膜材料溶着幅を40㎜(膜面における支点間距離を3m以下、膜面の投影面積を200㎡以下とし、かつ、第五に定める構造計算によって構造耐力上安全であることが確かめられた場合は、20㎜)以上とすること。
(3) 接合部の引張強さは、ロ(4)に定めるところによること。
膜材料の種類 | 接合方法 | |
(一) | 第二項第一号の表の(一)に掲げる膜材料 | 熱板溶着接合 |
(二) | 第二項第一号の表の(二)又は(三)に掲げる膜材料 | 縫製接合、熱風溶着接合、高周波溶着接合又は熱板溶着接合 |
(三) | (一)及び(二)に掲げる膜材料以外の膜材料 | 膜材料の品質及び使用環境その他の実況に応じた実験により(一)又は(二)と同等以上に存在応力を伝達できることが確かめられた接合 |
二 次に定める合成繊維ロープを用いた接合方法
イ、端部を二重にすることその他膜材料の摩損防止のための措置を講ずること。
ロ、接合部の耐力は、接合する膜材料と同等以上の耐力を有するものとすること。ただし、当該接合部の耐力を引張試験によって確認し、第五に定める構造計算によって構造耐力上安全であることが確認された場合は、この限りでない。
ハ、合成繊維ロープは、JIS L 2703(ビニロンロープ)-1992、JIS L 2704(ナイロンロープ)-1992、JIS L 2705(ポリエチレンロープ)-1992、JIS L 2706(ポリプロピレンロープ)-1992 若しくはJIS L 2707(ポリエステルロープ)-1992 のいずれかに適合するものとすること。
二、接合する膜材料の端部と平行にハトメ(膜材料に合成繊維ロープを通すために設ける孔に取り付ける膜材料摩損防止のための金具をいう。以下同じ。)を設けた孔を当該接合する膜材料の相互に均等に設け、合成繊維ロープを交互に当該接合する膜材料のハトメを設けた孔に通して編み合わせるこ
とにより接合すること。
三 次に定める金物を用いたボルトによる接合方法
イ、プレートその他の金物を介してボルトにより接合すること。
ロ、接合する膜材料の端部を重ね合わせること。
ハ、端部を二重にすることその他膜材料の摩損防止のための措置を講ずること。
二、接合部の耐力は、接合する膜材料と同等以上の耐力を有するものとすること。ただし、当該接合部の耐力を引張試験によって確認し、第五に定める構造計算によって構造耐力上安全であることが確認された場合は、この限りでない。
ホ、膜材料の端部に補強用の合成繊維ロープの設置その他の有効な端抜け防止のための措置を講ずること。
四 次に定める構造用ケーブルを用いた接合方法
イ、端部を二重にすることその他膜材料の摩損防止のための措置を講ずること。
ロ、接合部の耐力は、接合する膜材料と同等以上の耐力を有するものとすること。ただし、当該接合部の耐力を引張試験によって確認し、第五に定める構造計算によって構造耐力上安全であることが確認された場合は、この限りでない。
ハ、膜材料を折り返して当該膜材料の端部と当該端部と重なる部分を第一号に定める接合方法により接合し、膜材料の端部に構造用ケーブルを通すことのできる袋を設けること。
二、ハに定めるところにより袋状に加工された膜材料の端部に一定の長さで切り込みを入れ、接合する膜材料の端部における切り込みを互い違いに組合せ、当該接合する膜材料の端部を組み合わせた部分における接合する膜材料の端部に設けた袋に相互に構造用ケーブルを通すことにより接合すること。
5 構造耐力上主要な部分に用いる膜面に使用する膜材料を骨組又は構造用ケーブルに定着させる場合においては、次に定めるところによらなけらばならない。
一 次のいずれかに定める定着方法によるか又はこれと同等以上に存在応力を伝達できる定着方法により当該膜材料を骨組又は構造用ケーブルに定着させること。
イ、膜材料の端部をプレートその他の金物により補強し、金具を介して骨組又は構造用ケーブルに定着させること。
ロ、次に掲げる方法によること。
(1) 前項第二号イからハまでに定めるところによること。
(2) 定着させる膜材料の端部と平行にハトメを設けた孔を当該定着させる膜材料に設け、合成繊維ロープを当該定着させる膜材料のハトメを設けた孔に通して編み合せることにより骨組み又は構造用ケーブルに定着させること。
ハ、ハトメ布又は抱き込み掛り布(膜面に使用する膜材料を骨組、構造用ケーブルその他の部分に定着させるために当該膜材料に接合したハトメを有する膜材料をいう。)を膜材料に接合し、合成繊維ロープを当該ハトメ布又は抱き込み掛り布のハトメを設けた孔に通して編み合わせることにより骨組又は構造用ケーブルに定着させること。
二 定着部の耐力は、定着させる膜面に使用する膜材料と同等以上の耐力を有するものとすること。ただし、当該定着部の耐力を引張試験によって確認し、第五に定める構造計算によって構造耐力上安全であることが確認された場合は、この限りでない。
三 定着部は、膜材料の折れ曲がり、局部応力等により膜材料が損傷しないよう補強又は養生を行うこと。
6 膜面の応力が集中するおそれのある開口部分の周囲、隅角部分その他の部分にあっては、実況に応じて膜材料の二重使用、構造用ケーブル又は金属プレートの取付けその他の有効な補強を行わなければならない。
7 構造耐力上主要な部分に用いる膜面が雨水、滑雪、融雪水その他の滞留により膜面の変形が進行することのないようにしなければならない。
8 構造耐力上主要な部分に用いる膜面に積雪、風圧並びに地震その他の震動及び衝撃による構造耐力上の支障となる破損が生じないようにしなければならない。
第三 膜面の定着
構造耐力上主要な部分に用いる膜面に使用する膜材料と周囲の構造耐力上主要な部分(膜面の部分を除く。)との定着部は、その部分の存在応力を伝えることができるものとして、次に掲げる基準に適合するものとしなければならない。ただし、次の各号に掲げる定着と同等以上にその部分の存在応力を伝えることができるものとする場合においては、この限りでない。
一 次のいずれかに適合する定着方法とすること。
イ、第二第四項第三号(ロを除く。)に定める定着方法とすること。
ロ、次に定める定着方法によること。
(1) 定着させる膜材料は第二第二項第一号の表の(二)又は(三)に掲げる膜材料とすること。
(2) 第二第四項第二号イからハまでに定めるところによること。
(3) 定着させる膜材料の端部にハトメを設けた孔を当該定着させる膜材料に設け、合成繊維ロープを当該定着させる膜材料のハトメを設けた孔に通して、周囲の構造耐力上主要な部分に定着させること。
二 定着部の耐力は、定着させる膜面に使用する膜材料と同等以上の耐力を有するものとすること。ただし、当該定着部の耐力を引張試験によって確認し、第五に定める構造計算によって構造耐力上安全であることが確認された場合は、この限りでない。
三 定着部は膜材料の折れ曲がり、局部応力等により膜材料が損傷しないよう補強又は養生を行うこと。
2 膜面に使用する膜材料に膜材料以外の部材又は金物を常時接触状態とする場合にあっては、次に定めるところによらなければならない。
一 構造耐力上主要な部分に用いる膜面に使用する膜材料に接触する部材に応じて,次に定めるところにより膜面に使用する膜材料の摩損その他のおそれのないものとすること。
イ、構造用ケーブル
接触する部分の膜材料を二重にし、かつ、構造用ケーブルに被覆材を取り付けること。ただし、仮設建築物にあっては、この限りでない。
ロ、構造用ケーブル以外の部材又は金物
部材の角部分を削り落とす等の処置を行い膜面に使用する膜材料への接触面を平滑し、実況に応じて膜材料の二重使用、ゴム等を膜面に使用する膜材料と部材又は金物との間に挟み込む等の措置を併せて行うこと。
二 合成繊維糸による基布とした膜材料以外の膜材料を使用する場合にあっては、第五第一項第二号に定める構造計算(暴風時に限る。更に、令第八十二条第二号の表に定めるW については令第八十七条に規定する風圧力の1/2に相当する風圧力によって生ずる力とする。)を行い接触部分の2/3以上の部分が遊離しないことを確かめること。ただし、仮設建築物にあっては、この限りでない。
第四 耐久性等関係規定の指定
令第三十六条第一項に規定する耐久性等関係規定として、第二第一項、第二第二項第一号、第七号から第十一号まで、第三項第一号から第三号まで、第四項第一号イ(1)、(2)及び(5)、ロ(1)及び(2)、ハ(1)及び二(1)及び同号の表並びに第三第一項第三号及び第二項に定める安全上必要な技術的基準を
指定する。
第五 保有水平耐力計算、許容応力度等計算又は令第八十二条各号及び令第八十二条の四に定めるところによる構造計算と同等以上に安全性を確かめることができる構造計算
令第八十一条第二項第一号イに規定する保有水平耐力計算と同等以上に膜構造の建築物及び膜構造とその他の構造とを併用する建築物の安全性を確かめることができる構造計算を次の各号及び次項から第五項まで(第四項第二号を除く。)に定め,
令第八十一条第二項第二号イに規定する許容応力度等計算と同等以上に膜構造の建築物及び膜構造とその他の構造とを併用する建築物の安全性を確かめることができる構造計算を次の各号及び次項から第五項まで(第四項第三号を除く。)に定め、
令第八十一条第三項に規定する令第八十二条各号及び令第八十二条の四に定めるところによる構造計算と同等以上に膜構造の建築物の安全性を確かめることができる構造計算を次の各号及び次項から第六項まで(第四項を除く。)に定める。
一 令第三章第八節第二款に規定する荷重及び外力並びに膜面の張力によって建築物の構造耐力上主要な部分に生ずる力を計算すること。
二 前号の構造耐力上主要な部分の断面に生ずる長期及び短期の各応力度を令第八十二条第二号の表に掲げる式に膜面の張力によって生ずる力を加えることによって計算すること。
三 第一号の構造耐力上主要な部分ごとに、前号の規定によって計算した長期及び短期の各応力度が、それぞれ第六の規定による長期に生ずる力又は短期に生ずる力に対する各許容応力度を超えないことを確かめること。
四 平成十二年建設省告示第1459号第一に定める場合においては、構造耐力上主要な部分である構造部材の変形又は振動によって建築物の使用上の支障が起こらないことを同告示第二に定める方法によって確かめること。
2 暴風時に、屋外に面する膜面における支点(骨組等又は構造用ケーブルのうち荷重及び外力に応じて膜材料を支持するものをいう。)及び当該支点の周囲の膜材料の部分について、平成十二年建設省告示第1458号第一項第一号に規定する風圧力に対して安全上支障がないことを確かめること。
3 令第八十二条第二号の表の荷重及び外力について想定する状態において、次に定める膜面の部分の構造方法に応じ、それぞれ当該各号に定める構造計算を行うこと。
一 膜面における支点間距離が4m以下である膜面の部分
令第八十二条第二号の表の短期に生ずる力について、積雪時及び暴風時(同表に定めるW については令八十七条に規定する風圧力の1/2に相当する風圧力によって当該部分に生ずる力とする。)における膜材料の部分の常時の状態から相対変形量を計算し、当該変形量が当該膜面における支点間距離のそれぞれ1/15及び1/20(当該膜材料の部分の周囲の一部を構造用ケーブルに定着させた場合にあっては、いずれも1/10)以下であることを確かめること。
二 膜面における支点間距離が4mを超える膜面の部分
令第八十二条第二号の表の短期に生ずる力について、積雪時及び暴風時における膜材料の部分の常時の状態からの相対変形量を計算し、当該変形量が当該膜面における支点間距離の1/15(当該膜材料の部分の周囲の一部を構造用ケーブルに定着させた場合にあっては、1/10)以下であることを確かめること。
4 前各項の規定によるほか、次に定める構造計算を行うこと。
一 地上部分の層間変形角については、令第八十二条の二の規定を準用する。
高さが31m以下のものの地上部分の剛性率及び偏心率等については、令第八十二条の六第二号の規定を準用する。
三 高さが31mを超えるものの地上部分の保有水平耐力については、令八十二条の三の規定を準用する。この場合において、同条中「第四款に規定する材料強度」とあるのは、「第七に規定する材料強度」と読み替えるものとする。
5 令第八十二条の四の規定によること。
6 令第八十二条第二号の表に掲げる式により、地震時の短期に生ずる力が積雪時又は暴風時の短期に生ずる力が積雪時又は暴風時の短期に生ずる力に比べ小さいことを確かめること。
第六 許容応力度
一 膜材料の引張りの許容応力度は、接合等の状況に応じ、それぞれ次の表の数値によらなければならない。
接合等の状況 | 長期に生ずる力に対する引張りの許容応力度(単位 N/m㎡) | 短期に生ずる力に対する引張りの許容応力度(単位 N/m㎡) | ||
(一) | 接合部のない場合又は接合巾が40 ㎜(第二第二項第一号の表の(一)に掲げる膜材料にあっては75 ㎜以上) | 折りたたみを行わない場合 | Fm/80t | Fm/40t |
折りたたみを行う場合 | Fm/80t | Fm/50t | ||
(二) | (一)項に掲げる場合以外の場合 | Fm/100t | Fm/50t |
この表において、Fm 及びtは、それぞれ次の数値を表すものとする。
Fm 第八に規定する膜材料の各糸方向の基準強度(単位 N/cm)
t 膜材料の厚さ(単位 ㎜)
二 膜面の定着部の引張りの許容応力度は、次の表に掲げる許容耐力を膜面の定着部の種類及び形状に応じて求めた有効断面積で除した数値によらなければならない。
長期に生ずる力に対する引張りの許容耐力 (単位 ニュートン) | 短期に生ずる力に対する引張りの許容耐力 (単位 ニュートン) |
Fj/6 | Fj/3 |
この表において、Fjは膜面の定着部の実況に応じた引張試験によって求めた引張強さ(単位 ニュートン)とする。
三 前各号に掲げる膜材料及び膜面の定着部以外の材料の許容応力度は、令第三章第八節第三款の規定によらなければならない。
第七 材料強度
一 膜材料の引張りの材料強度は、次の表の数値によらなければならない。
引張りの材料強度(単位 N/m㎡) |
Fm/40t |
この表において、Fm及びtは、それぞれ次の数値を表すものとする。
Fm 第六第一号の表に規定する膜材料の各糸方向の基準強度
t 膜材料の厚さ(単位 ㎜)
二 膜面の定着部の引張りの材料強度は、次の表に掲げる終局耐力を膜面の定着部の種類及び形状に応じて求めた有効断面積で除した数値としなければならない。
引張りの終局耐力(単位 N) |
Fj/3 |
この表において、Fjは、第六第二号の表に規定する膜面の定着部の引張強さ(単位 N)を表すものとする。
三 前各号に掲げる膜材料及び膜面の定着部以外の材料強度は、令第三章第八節第四款の規定によらなければならない。
第八 基準強度
第六第一号の表に規定する膜材料の各糸方向の基準強度は、その品質に応じて国土交通大臣が指定した数値とする。
テント倉庫建築物の構造方法に関する
安全上必要な技術的基準を定める等の件
平成 14 年 国土交通省告示 第 667 号
改正 平成 19 年 国土交通省告示 第 613 号
建築基準法施行令(昭和 25 年政令第 338 号)第八十条の二第二号の規定に基づき、膜構造の建築物のうち倉庫の用途に供する建築物(以下「テント倉庫建築物」という。)の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を第一から第三までに定め、
同令第三十六条第一項の規定に基づき、テント倉庫建築物の構造方法に関する安全上必要な技術基準のうち耐久性等関係規定を第四に指定し、
同令第三十八条第四項の規定に基づき、テント倉庫建築物の基礎の構造計算を第五に定め、
同令第八十一条第三項の規定に基づき、テント倉庫建築物の構造計算が、第六に適合する場合においては、当該構造計算は、同令第八十二条各号及び同令第八十二条の四に定めるところによる構造計算と同等 以上に安全性を確かめることができるものと認める。
第一 適用の範囲等
テント倉庫建築物の構造方法は、次に定めるところによらなければならない。
一 膜構造の建築物とし、鉄骨造の骨組に膜材料又はテント倉庫用膜材料(以下「膜材料等」という。)を張 り、当該骨組及び当該膜材料等を一体とし、膜材料等に張力を導入して荷重及び外力を負担することのできる安定した平面又は曲面とすることにより、構造耐力上主要な部分である屋根版及び壁を設けること。
二 階数が一であること。
三 延べ面積が 1000 ㎡以下であること。
四 軒の高さが 5m以下であること。
五 膜面(張力を導入した膜材料等及び当該膜材料等と一体となる骨組又は構造用ケーブルにより荷重及 び外力を負担するものをいう。以下同じ。)を用いた屋根の形式は、切妻屋根面、片流れ屋根面、又は円弧屋根面とすること。
六 構造用主要な部分に用いる膜面に使用する膜材料は、けた行き方向に 1.5m 以下の間隔で鉄骨造の骨組に定着させること。ただし、第六第一項第一号から第三号までに定める構造計算によって構造耐力上安 全であることが確かめられた場合には、3m以下の間隔で定着させることができる。
第二 膜面の構造
1 構造耐力上主要な部分に用いる膜面は、当該膜面に使用する膜材料に張力を導入して平面又は曲面の 形状を保持することができるものとし、当該膜面に変形が生じた場合であっても、当該膜面を定着させる部分以外の部分と接触させてはならない。
2 構造耐力上主要な部分に用いる膜面に使用する膜材料は、次の各号に掲げる基準に適合しなければな らない。この場合において、膜面に使用する骨組を構成する鉛直部材の脚部をけた行方向のみに移動する滑節構造とし、屋根版及び壁に用いる膜面を折りたたむことにより伸縮する構造とする当該屋根 版及び壁の部分(以下「可動式膜面の部分」という。)に使用する膜材料等には、ガラス繊維糸を使用してはならない。
一 膜材料等の厚さは 0.45 ㎜以上とし、かつ、質量は 1 ㎡につき 400g以上であること。
二 引張強さは、幅 1 ㎝につき 400N以上であること。
三 破断伸び率は、40%以下であること。
四 引張強さは、78N以上であること。
五 構造耐力上主要な部分で特に変質又は摩損のおそれのあるものについては、変質若しくは摩損しにく い膜材料等又は変質若しくは摩損防止のための措置をした膜材料等とすること。
3 構造耐力上主要な部分に用いる膜面に使用する骨組は、次に定めるところによらなければならない。
一 骨組に用いる鋼材は、日本工業規格(以下「JIS」という。)G3101(一般構造用圧延鋼材)-1995、JIS G3106(溶接構造用圧延鋼材)-1999、JIS G3114(溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材)-1998、JIS G3136(建築構造用圧延鋼材)-1994、JIS G3350(一般構造用軽量形鋼)-1987、JIS G3444(一般構 造用炭素鋼管)-1994、JIS G3466(一般構造用角形鋼管)-1988、JIS G3112(鉄筋コンクリート用棒鋼)-1987 若しくは JIS G3117(鉄筋コンクリート用再生棒鋼)-1987 のいずれかの規格に適合するもの 又はこれらと同等以上の品質を有するものとしなければならない。
二 骨組を構成する部材(間柱、小ばりその他これらに類するものを除く。)相互の接合は、次に定めると ころによらなければならない。
イ、高力ボルト接合又は溶接接合によること。ただし、張り間が 13m 以下のテント倉庫建築物について、 ボルトが緩まないようにコンクリートで埋め込む場合、ナットの部分を溶接し、又はナットを二重に使用する場合その他これらと同等以上の効力を有する戻り止めをする場合においては、ボルト接 合によることができる。
ロ、イにおいて、高力ボルト接合又はボルト接合とした場合にあっては、建築基準法施工令(以下「令」 という。)第六十八条の規定を準用すること。
三 骨組の継手又は仕口の構造は、その部分の存在応力を伝えることができるものとして、平成十二年建 設省告示第 1464 号に定める構造方法を用いるものとしなければならない。この場合において、同告示第一号中「令第八十二条第一号から第三号までに定める構造計算」とあるのは「第六第一項から第三 号までに定める構造計算」と読み替えるものとする。
四 骨組は、適切に水平力を負担する筋かいを設ける等水平力に対して安全なものとしなければならない。
五 骨組を構成する鉛直部材のけた行方向の間隔は、3m以下としなければならない。ただし、第六第一項第一号から第三号までに定める構造計算によって構造耐力上安全であることが確かめられた場合は、 この限りでない。
六 骨組を構成する鉛直部材の張り間方向の間隔は、8m 以下としなければならない。ただし、第六第一項 第一号から第三号までに定める構造計算によって構造耐力上安全であることが確かめられた場合は、当該張り間方向の間隔を 30m 以下とすることができる。
七 骨組を構成する水平部材(けた行方向の端部に設置する物に限る。)の相互の間隔は、2m 以下としな ければならない。ただし、第六第一項第一号から第三号までに定める構造計算によって構造耐力上安全であることが確かめられた場合は、この限りでない。
八 前七号に定めるところによるほか、可動式膜面の部分の骨組は、次に定めるところによらなければな らない。
イ、可動式膜面の部分の骨組は、可動式膜面の部分をけた行方向に伸縮させる時に風圧力その他の外力 に対して著しい揺れ又はねじれを生じないものとすること。
ロ、可動式膜面の部分に構造用ケーブルを用いる場合にあっては、膜面を閉じた状態において当該構造 用ケーブルにたるみが生じないために必要な措置を講ずること。
ハ、可動式膜面の部分の骨組を構成する鉛直部材のけた行方向の相互の間隔は、1.5m 以下とすること。
ニ、可動式膜面の部分の骨組のうち鉛直部材の張り間方向の間隔は、8m 以下とすること。ただし、第六第一項第一号から第三号までに定める構造計算によって構造耐力上安全であることが確かめられ た場合は、当該張り間方向の間隔を 20m 以下とすることができる。
4 構造耐力上主要な部分に用いる膜面に使用する構造用ケーブルは、ねじれ、折れ曲がりその他の耐力 上の欠点のないものとしなければならない。
5 構造耐力上主要な部分に用いる膜面に使用する膜材料等相互の接合は、膜材料等の存在応力を伝える ことができるものとして、次の各号に揚げる膜材料等の種類に応じ、それぞれ当該各号に定める接合としなければならない。
一 膜材料 平成十四年国土交通省告示第 666 号第二第四項に定める接合方法によること。
二 テント倉庫用膜材料 接合方法(接合する膜材料等の重ね合わせた部分を端部と平行に縫製する接合 方法をいう。以下同じ。)、熱風溶着接合(熱風により、接合する膜材料等の重ね合わせた部分のコーティング材を溶融し、当該接合する膜材料等を圧着する接合方法をいう。以下同じ。)、高周波溶着接 合(高周波電界を与えることにより、接合する膜材料等の重ね合わせた部分のコーティング材を熔融し、当該接合する膜材料等を圧着する接合方法をいう。以下同じ。)、又は熱板溶着接合(熱板を押し 当てることにより、接合する膜材料等の重ね合わせた部分のコーティング材又は当該部分に挿入した溶着フィルムを溶融し、当該接合する膜材料等を圧着する接合方法をいう。以下同じ。)、のいずれか とし、次に定めるところによること。
イ、テント倉庫用膜材料相互の接合幅又は溶着幅は 20 ㎜以上とすること。
ロ、接合部の引張強さは使用するテント倉庫用膜材料の引張強さの数値に 0.7 を乗じて得た数値以上と すること。
ハ、縫製接合する場合にあっては、縫製部は、縫い糸切れ、目飛び、ずれその他の耐力上の欠点がない ものとすること。この場合において、縫製部には、有効な縫い糸の劣化防止及び防水のための措置 を施すこと。
ニ、熱風溶着接合、高周波溶着接合又は熱板溶着接合とする場合にあっては、溶着部は、はがれ、ずれ、 ひび割れ、破れ、しわその他の耐力上の欠点がないものとすること
6 構造耐力上主要な部分に用いる膜面に使用する膜材料等を骨組又は構造用ケーブルに定着させる場 合においては、平成十四年国土交通省告示第 666 号第二五項の規定によらなけばならない。
7 構造耐力上主要な部分に用いる膜面に雨水、滑雪、融雪水等の滞留が生じないようにしなければならない。
第三 膜面と基礎又は土台との接合
1 構造耐力上主要な部分に用いる膜面は、骨組に使用する鉛直部材の脚部において、平成十二年建設省 告示第 1456 号の規定に従ったアンカーボルトによる緊結その他の構造方法により基礎に緊結しなければならない。ただし、第六第一項第一号から第三号までに定める構造計算によって構造耐力上安全 であることが確かめられた場合は、この限りでない。
2 可動式膜面の部分にあっては、前項の規定にかかわらず、次に定めるところによらなければならない。
一 可動式膜面の部分の直下にある土台に用いる鋼材は、JIS E1101(普通レール及び分岐器類用特殊レール)-2001 若しくは JIS E1103(軽レール)-1993 又はこれらと同等以上の品質を有するものとすること。
二 可動式膜面の部分の骨組を構成する鉛直部材の脚部の可動部分(当該鉛直部材の脚部をけた行方向に 移動させるための車輪及びこれを支持する部分をいう。以下次号において同じ。)は、荷重及び外力によって生ずる力を構造耐力上有効に当該鉛直部材の脚部の直下にある土台に伝えることができる剛性 及び耐力を有する構造とすること。
三 可動式膜面の部分を構成する鉛直部材の浮上り及び当該鉛直部材の脚部の可動部分の脱輪を防止する ために必要な措置を講じ、かつ、端部における鉛直部材の脚部の可動部分を固定するための装置を設 けること。
第四 耐久性等関係規定の指定
令第三十六条第一項に規定する耐久性等関係規定として、第二第一項、第二項(第一号を除く。)、第 三項第一号及び第八号イ及びロ、第四項及び第五項第二号ハ及びニ並びに第三第二項第一号及び第三号
に定める安全上必要な技術基準を指定する。
第五 テント倉庫建築物の基礎について定める構造計算
令第三十八条第四項に規定するテント倉庫建築物の基礎の構造計算は、次に定める基準に従った構造 計算とする。
一 テント倉庫建築物、敷地、地盤その他の基礎に影響を与えるものの実況に応じて、水圧、水圧その他 の荷重及び外力を採用し、第六第一項第一号から第三号までに定める構造計算を行うこと。
二 前号の構造計算をするに当たり、自重による沈下その他の地盤の変形等を考慮してテント倉庫建築物 に有害な損傷、変形及び沈下が生じないことを確かめること。
第六 テント倉庫建築物の安全性を確かめることができる構造計算
1 令第八十一条代三項に規定する令第八十二条各号及び令第八十二条の四に定めるところによる構計 算と同等以上にテント倉庫建築物の安全性を確かめることができる構造計算を次に定める。
一 令第三章第八節第二款及び次項に規定する荷重及び外力によってテント倉庫建築物の構造耐力上主要 な部分に生ずる力を計算すること。
二 前号の構造耐力上主要な部分の断面に生ずる長期及び短期の各応力度を令八十二条第二号の表に揚げ る式によって計算すること。この場合において、同表中「令第八十七条に規定する風圧力によって生ずる力」とあるのは、「次項に規定する風圧力によって生ずる力」と読み替えるものとする。
三 第一号の構造耐力上主要な部分ごとに、前号の規定によって計算した長期及び短期の各応力度が、そ れぞれ第三項の規定による長期に生ずる力又は短期に生ずる力に対する各許容応力度を超えないことを確かめること。
四 平成十二年建設省告示第 1459 号第一に定める場合においては、構造耐力上主要な部分である構造部 材の変形又は振動によってテント倉庫建築物の使用上の支障が起こらないことを同告示第二に定める方法によって確かめること。
2第一項第二号の風圧力は、次の各号によらなければならない。
一 令第八十七条の規定によること。この場合において、同条第二項に規定するVoは、平成十二年建設省告示第 1454 号第二に規定する数値に 0.8 以上の数値を乗じて得た数値(当該数値が 28 未満のときは、28)とすることができる。
二 前号の規定により速度圧を減らして風速力を計算したテント倉庫建築物については、その出入口又はその他の見やすい場所に、その軽減の実況その他必要な次事項を表示すること。
3 第一項第三の長期に生ずる力に対する各許容応力度は、次に定めるところによらなければならない。
一 膜材料等の引張りの許容応力度は、次の表の数値によらなければならない。
長期に生ずる力に対する引張りの許容応力度(単位 N/m㎡) | 短期に生ずる力に対する引張りの許容応力度(単位 N/m㎡) |
Fm/60t | Fm/30t |
この表において、Fm 及びtは、それぞれ次の数値を表すものとする。
Fm 第八に規定する膜材料の各糸方向の基準強度(単位 N/cm)
t 膜材料の厚さ(単位 ㎜)
二 膜面の定着部の引張りの許容応力度は、次の表に掲げる許容耐力を膜面の定着部の種類及び形状に 応じて求めた有効断面積で除した数値によらなければならない。
長期に生ずる力に対する引張りの許容耐力(単位ニュートン) | 短期に生ずる力に対する引張りの許容耐力(単位ニュートン) |
Fj/4 | Fj/2 |
この表において、Fjは膜面の定着部の実況に応じた引張試験によって求めた引張強さ(単位 ニュートン)とする。
三 可動式膜面の部分の直下にある土台に用いるレールの支圧の許容応力度は、次の表の数値によらなければならない。
長期に生ずる力に対する支圧の許容応力度(単位 N/m㎡) | 短期に生ずる力に対する支圧の許容応力度(単位 N/m㎡) |
10HBW/□ | 15HBW/□ |
この表において HBW 及び□は、それぞれ次の数値を表すものとする。
HBW JIS Z2243(ブリネル硬さ試験_試験方法)-1998 に定めるブリネル硬さ試験方法により求めたブリネル硬さ
□ 次の式によって計算した数値 □=2((HBW2/900,000)+1)
四 前各号に掲げる膜材料等、膜面の定着部及びレール以外の材料の許容応力度は、令第三章第八節第三 款の規定によらなければならない。
4 テント倉庫建築物の構造耐力上主要な部分に使用する膜材料等の許容応力度の基準強度は、次に定め るところによらなければならない。
一 前項第一号に規定するテント倉庫用膜材料の各糸方向の基準強度は、その品質に応じて国土交通大臣 が指定した数値とする。
二 前項第一号に規定する膜材料の各糸方向の基準強度は、平成十四年国土交通省告示第 666 号第八によることとする。